能登半島の定置網混獲の文化と鯨食(主に石川県鳳珠郡能登町を対象に)
石川県の能登町の鯨食
当「くじらの消費者運動」では、地域での鯨食もご紹介したいと思っています。
鯨のすき焼きは、能登でみられる家庭料理です。鯨のすき焼きは、現在の日本では珍しいのですが、能登にはまだ広く残っているようです。
能登帰省実家の晩御飯、クジラ肉のすき焼き😋明日、帰ります🚙 pic.twitter.com/x3UNHYTL1N
— 一平 (@oneflatonly) 2020年1月3日
鯨が揚がって活気づく能登町
「天晴れ 北陸」さまが撮影なされた2018年ごろの動画です。奥能登の定置網には鯨が迷い込むことがあります。今回はミンク鯨がかかりました。石川県漁連能登支所でのセリのようすです。5分で完売したそうです。
能登町宇出津港でミンククジラが上がったことを伝える新聞記事です。報道で鯨肉の販売を知り、購入する方もあるようです。
20191216「クジラとブリに港沸く - 石川県のニュース」:北國新聞社定置網に迷い込んだクジラは漁網を傷つけることなどから捕獲が認められ、同港では毎年冬場に10頭ほどが水揚げされる。町内では刺し身やすき焼きでクジラを食べる風習がある。
商業捕鯨の生ミンククジラについて、近江町市場の大口水産さまの担当者さまは、「目の前の海の産物のクジラのほうが新鮮」とのニュアンス。産地は感覚が違うのでしょう。
20200709「近江町市場に鯨肉初入荷 需要の伸びは不透明」北國新聞社
北陸で捕れた鯨の方が圧倒的に新鮮で、いろんな部位の肉が楽しめる。商業捕鯨の肉は今後、より鮮度の良い品が届けば、店頭に出す
以下は「氷見産のくじら」で知られた氷見の方のツイッターのご投稿です。
ひっさしぶりのクジラ肉げっと〜!思わず赤身と白身(脂身)のセットを2パック買った後で違う魚屋さんに行って白身を購入。能登産。さてどうしてくれようか。#クジラ#鯨食 pic.twitter.com/vtyK242e6C
— 雲斎(アトリエ八雲) (@hirounsai) 2020年6月25日
こちら(富山県氷見市)の郷土料理なのですが、ゴボウとこんにゃくと一緒に醤油で炊きました。 pic.twitter.com/9kNIgaG4VC
— 雲斎(アトリエ八雲) (@hirounsai) 2020年6月25日
鯨のレシピ研究:くじらの汁もの
くじらの消費者のみなさま
— 消費者運動「鯨類に感謝 @ Thanks Cetacea」 (@irukanigohan) 2020年6月25日
くじらのレシピ研究です
鯨皮が富山県氷見市の郷土料理になりました。
お写真はくじら汁風。更に煮て煮物にできます
材料
ごぼう
こんにゃく
醤油
酒
水
(ゴボウではなく長ネギを入れる地域あり)
コツ
アクはこまめに取る
鯨は初めから鍋に入れるhttps://t.co/y19Y7s3iiw
この郷土料理は、「汁物(くじら汁)」にも「煮物」にもアレンジできるようです。具材がくじらから出た出汁(だし)を吸い、美味しく戴けるそうです。
材料
くじらの皮
ごぼう(ごぼうではなく長ネギを入れる地域もあるそう)
こんにゃく
醤油
酒
水
コツは、アクはこまめに取ること、鯨は初めから鍋に入れておくことだそうです。
同じ材料で、汁を多め味を薄めにすれば「汁物」(くじら汁に似た汁)に、味を濃い目にし煮詰めれば煮物にすることもできるそうです。
能登半島沖の定置網混獲
能登では、江戸時代から定置網で獲物(海産物)を得てきました。
その獲物には、自然にくじらも含まれてきました。
漁村では新鮮なくじらを食べてきました。
これは長く続く歴史です。
能登町とクジラの関係は古く、縄文時代の真脇遺跡からもクジラの骨が大量に出土している。現在でも刺し身や竜田揚げにするほか、皮でだしを取り、すき焼きにするなど、クジラを食べる風習が残っている。
(1月31日15時35分更新 富山新聞)「ミンククジラ水揚げ 体長8.2メートルの珍客 石川県漁協能都支所」
(上記のリンクにはアーカイブが無いです。)
能登には独自の文化があります。
能登町三波地区
三波地区一帯の地名は藤波、波並、矢波
クジラの混獲は意図したものではなく、漁具や漁獲物などの損害が大きいことから国によって捕獲が認められている。
各集落には打ち上がったクジラに関する文化財や石碑が点在。
同町藤波の神目神社が所有するクジラ捕りの絵図は1853(嘉永6)年、加賀藩主前田斉泰(なりやす)が見物する様子を描いたとされる。
「一頭で七浜光る」という水揚げされたクジラの分配方法にまつわる昔からの言い伝えもある。
クジラの骨が埋まっていると伝える石碑がある矢波の諏訪の森
地区の祭りの宴席では刺し身や酢の物などのクジラ料理が欠かせない風習
定置網作業に使うドブネは、20世紀まで作られていました。(現代は、ユニック(小さなクレーン)付きの現代的な作業船に代わりました。)
能登町の国指定重要有形民俗文化財の和船「能登内浦のドブネ」
能登をにぎわせた定置網漁業ドブネは、江戸時代から日本海側各地で定置網漁に使われた大型の木造船
丸太をくりぬく造船法から、木の板を組み合わせる造船法へと移る過渡期のもの
1955(昭和30)年ごろに造られ、同町波並漁港を拠点に30年ほど操業
全長14メートルの3隻
ブリやアジを水揚げしたり、クジラを両側から挟み込んで浜に運んだりするのに使われたもの
能登では定置網にくじらがかかるのを願う人々がおられるようです。
石川県能登半島 三波公民館の活動ブログ
くじら・KUJIRA・鯨 2014年11月22日(土)
三波地区で営まれている定置網漁業の網に、たまに鯨が迷い込んできますが、
私達はこの鯨が大好きで、好んで食べます!!先日、波並大敷網組合で鯨が捕れました!
かつては、捕らえた鯨を漁港の湾内で漁師さんがさばくのを、住民みんなでわくわくしながら見たものです
大敷の鯨、また捕れますように!
資料集:能登の定置網と鯨捕りの歴史的な経緯を簡単に知りたいなら
以下は、3つの町の鯨伝説を収録しています。
- 海蔵院の鯨伝説(藤波)
- 鯨島の由来(波並)
- 庄次兵衛鯨(矢波)
「クジラとれれば七浜光る」 - 能登町の広報誌(PDF)
匿名の方が作ったウェブサイトですが、簡単にまとめてあるので紹介します。
定置網漁業の今昔や運営などが記された資料
能登町鵜川の定置網漁業「日の出大敷」役員さんの話を書き取りしたPDF文書:80代の方から、昔の定置網漁と今との違いを聞き取りしたもの。定置網一式を1ヶ統と言いますが、1ヶ統の小型定置網を行うのに船や番屋まで合わせて6億円かかるようです。大型定置網の1種「大敷網」は、網の幅が約600m、垣網が5km位とのことのようです。
「定置網漁に生きる」石川県公表