消費者運動「鯨類に感謝 @ Thanks Cetacea」 【くじらの消費者運動】

【鯨類食文化の理解促進】 捕鯨と「いるか漁業」。東京の鯨食人口は1割以上いるとされます。小型鯨類(いるか類)は、岩手、秋田、山形、福島、茨城、千葉、神奈川、静岡、山梨、和歌山、沖縄等の県内の地域での伝統食です。

【第3回】捕獲できる鯨種の増加と、きちんとした生息数の調査は、消費者に得

江戸時代並みの現代捕鯨の捕獲頭数

商業捕鯨が解禁となる2019年7月に定められた捕獲頭数は、百年継続しても大丈夫な捕獲頭数となりました。商業捕鯨での、この捕獲頭数は、実は「江戸時代並み」であります。

 

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江戸時代の捕鯨術では、まだ生きている虞がある鯨にしがみつき、鯨の鼻に綱を結ぶ作業をしました。

 

現代捕鯨では、歴史的経緯を鑑み、地球環境に配慮することが重要ですから、持続可能な捕獲頭数となります。捕鯨業も鯨の消費者も地球の一員であり、人類の未来に迷惑をかけてはいけませんので、この方向性で正しいと存じます。

このため今季から、消費者にとっては残念ながら、鯨肉の生産量も減ってしまいました。

鯨肉には消費者がおります。また、消費者(個人)と捕鯨会社(生産者)との間には、鯨肉加工メーカーや鯨肉専門店(卸・小売り)などの中間業種がいます。国内で鯨肉の取扱量が減ってしまうのは、鯨肉の消費に悪い影響が出ますし、また、鯨肉の中間業者にとっては死活問題となる場合(要は倒産や廃業など)もありえます。

この状況を打開する手はいろいろありますが、そのうちのひとつの手に、ナガスクジラ漁の復活があります。

 

ナガスクジラは増えている

ナガスクジラは、長年の禁漁で日本のEEZ内に増えてきた観測があり、ナガスクジラの漁の復活ができそうな情勢となっています。

www.nikkei.com

 

国産の鯨肉生産の主力は、大手捕鯨会社です。近年の国産は、大手捕鯨会社だけで、国産の6割~8割を生産しています。(大手捕鯨会社以外の捕獲は、沿岸小型捕鯨業と、小型鯨類の漁労と、混獲となっています)

 

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NHKで放送された調査捕鯨母船「日新丸」


大手捕鯨会社が日本の鯨食を事実上支えています。大手捕鯨会社は、母船式の捕鯨船団を使いますが、その捕鯨船団の捕鯨母船「日新丸」は、老朽化のために、新船に交代させなければならない時期になっております。交代は2024年位までに行われる見通しです。

 

(そういえば、某国会議員さんが、2018年IWCで日本側の主張が一切通らなかった結果の際に、国の在り方を10年かけて議論しなければならないと言ってましたが、それは認識間違いと当方が指摘したことがあります。捕鯨母船の新造をしなければならない時期が迫っており、国家予算の正当な使い道を示すためには、国の在り方の「結論」が、母船の予算の説明の際に必要となるはずなので、結論を出す時期が迫っていると考えられるから、です)

 

将来、ナガスクジラ漁が解禁できそうなので、大手捕鯨会社が使用する捕鯨母船の新造船には、今迄のイワシクジラの捕獲に対応した船の大きさではなく、ナガスクジラにも対応できる大きさが望ましいと、捕鯨会社は考えているようです。

www.nikkei.com( https://twitter.com/irukanigohan/status/1156950162587017216 )

 

EEZ内のナガスクジラの捕獲は、最低でも10頭以上は許可されるべき、と、当方は皮算用しています。捕獲できる鯨種が増えることは、「消費者に得」です。ナガスクジラは、日本のEEZ内での正確な推定生息数が解っていないので、捕獲枠(捕獲の上限)が科学的に妥当な数値となるよう正確な推定生息数の調査がいちはやく望まれます。

 

実はミンククジラも調査不足

正確な推定生息数の調査で、消費者が得するといえば、ミンククジラもそうです。

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ミンククジラのレバ刺し

kujirabiyori.jp

 

ミンククジラの捕獲枠(捕獲の上限頭数)は、意外な程に小さな数値となっています。この原因は、日本のEEZ内のミンククジラは、まだ、資源量が調査されてない海域があるためです。日本海側では、調査していないのです。

www.asahi.com

( https://twitter.com/irukanigohan/status/1155609059392815104 )

 

未調査は、未冷凍の鯨肉の生産と消費に直結します。現在、沿岸で未冷凍でお肉を出荷できるミンククジラの捕獲できる頭数(捕獲枠)があまりに小さいため、その味を体験できる消費者が少ないという課題があります。鯨肉ファンを獲得せねばならず、これは「日本の味」の維持の問題です。

同時に、沿岸小型捕鯨業(地域捕鯨業)の自主的な経営も導けるかもしれません。

 

生息数調査は基礎データです。データは収集しなければなりません

推定生息数の正確な調査は、地球環境の状態を知る上での基礎データ(基礎研究)です。基礎データをきちんと作成しないと、当然ながら保全にも影響が出ます。そして推定生息数の調査は、ビッグサイエンス(研究にお金がかかり、研究者個人ではどうにもならない研究)です。

また、今回の、捕獲してよい鯨種の拡充と、正確な推定生息数の調査は、「消費者にお得」な結果を導きます。

国は、ぜひ、正確な推定生息数の調査をよろしくお願い致します。