消費者運動「鯨類に感謝 @ Thanks Cetacea」 【くじらの消費者運動】

【鯨類食文化の理解促進】 捕鯨と「いるか漁業」。東京の鯨食人口は1割以上いるとされます。小型鯨類(いるか類)は、岩手、秋田、山形、福島、茨城、千葉、神奈川、静岡、山梨、和歌山、沖縄等の県内の地域での伝統食です。

野生生活とは過酷です:イルカの野生生活は飼育に比べ生死にかかわるリスクが高いです。

大自然について、当方の基礎的な認識を述べます。大自然をロマンで語る人が多くなってきましたので。)

 

野生生活は過酷です。

野生生活は、飼育に比べリスクが高い生活です。

野生では、飼育に比べ、生活をするのに苦労すると言い換えてもいいです。

 

「あなた」が、野生動物並みの野生生活を「しない」理由は、なんだと思いますか?

 

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野生と飼育との現実主義的な比較の大切さ

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動物園の最も厳しい批判者に共通した間違い”は、「野生について(ロマンを廃して)現実主義的に考察しないため」に、(1)あらゆる捕獲は危害を与え動物を軽視するものであると主張する。(2)野生での生活の不利益を見過ごす。ことである

 

ja.wikipedia.org

 
飼育状態と比べた野生生活のリスク:イルカの場合

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怪我と病気で致死するリスクが高い

例えば、野生生活では怪我や病気での致死率が高くなります。

また、地中海のように疫病(感染症)の蔓延でイルカが大量死する地域まであります。*1

 

長距離の移動で致死するリスクが高い

大半のイルカは広い海を回遊する生活です。

時には餌が見つけられず、飢えで体力を失います。

 

(競合種や漁業により餌を奪われている場合もありえます。)

 

肉食動物・危険生物で致死するリスクが高い

主にシャチやサメの被害を受けています。

 

シャチの食害

一部の学者によるとイルカ類はチンパンジー並みの知能を持ち(正確には劣ります)、一部の動物団体によるとイルカは人間の子並みの感性を持つ(正確には劣ります)そうです。

その「賢い」イルカがシャチに襲われています。これは筆舌に尽くしがたい恐怖では無いのでしょうか。これがイルカの野生生活の本質的な議論です。

(以下のビデオ群は、観客がわーきゃー言うものを選んでいます。シャチがイルカを襲ってるイェーイという感じです。)

www.youtube.com

www.youtube.com

www.youtube.com

 

以下はシャチに襲われるイルカに同情する動画です。

www.youtube.com

シャチに追われたイルカは死にたくないので陸に飛び上がった。

シャチが諦めて去った後、陸上から海中に戻れなければイルカは死ぬ。

イルカはパニックになると陸の上に飛び上がる習性がある。

 

人間である「あなた」は、イルカのような生涯を送りたい? わたしはごめんです。

 

サメの食害

以下は、サメの被害をうけたイルカのようすです。

www.youtube.com

www.youtube.com

水族館でレスキューされてよかったですね。サメに襲われながらも、運が良い個体です。

 

一方、深手を負えば、当然ながら死んでしまいます。

以下の新聞記事は死亡例です。

http://cdn.newsapi.com.au/image/v1/1a8383ca95bc5f58a91b657e0e5c8a4b?width=1024

www.dailytelegraph.com.au

このイルカは単独行をしていたようです。イルカの単独行は周りへの警戒が手薄になり易く、襲われ易くなります。このイルカはこの後、海中に没してしまったそうです。力尽きて死亡したとみられます。

 

イルカを野生復帰させる試みの際は、単独行、または僅かな頭数になりがちですが、襲われるリスクが高くなることには留意したほうがいいのではないでしょうか。

 

大型のイルカが小型のイルカを襲う

バンドウイルカがネズミイルカを襲うことにショックを受ける英国紙

www.scottishfield.co.uk

ハンドウイルカのこの行動がなぜ起きているのかはわからないですが、ネズミイルカにとっては悲劇そのものでしょう。

 

ハンドウイルカがネズミイルカを襲うことは科学者には知られています。

luna.pos.to

 

子殺し・繁殖競争で死亡するリスクが高い

メスと交尾する争いの犠牲です。メスを奪い合うのではなく、メスに強引に交尾を求め、メスが嫌がる行動が起きています。

nazology.net

発情期になったオスが、手荒なことをメスにする高等動物は他にもいますが、一つの群れでメスが何頭も死亡してしまうとなると、リスクと考えたほうがいいでしょう。

 

野生下では子は死亡率が異様に高い

野生状態では、様々な原因で子はたくさん死にます。生涯に子を沢山産めば種としては存続しますが、野生では個は「使い捨て」といえるでしょう。

以下は、子が死んで嘆く母イルカです。野生には悲しみがあります。

www.youtube.com

www.dailymail.co.uk

 

野生では子がたくさん死ぬのは当たり前です。また、母イルカは何度も子を産みます。種の存続としてはそれで勘定が合います。しかし、「個の尊厳」なんてあったものではありません。野生とは、生き延びれるものが生き残ればよいという現場なのです。野生生活では「個は使い捨て」としかいえず、野生は厳しい世界といえるでしょう。


不慮の事故:座礁で大量に死す

不慮の事故の典型例は、座礁です。座礁の原因はさまざまです。

例年座礁する海岸は、自然の要因と考えられる部分が大きいであろうと思われます。*2

 

1960年から2014年までの日本における大量座礁を種別でまとめると、カズハゴンドウ、マッコウクジラスジイルカがトップ3です。その中でもカズハゴンドウの発生率は非常に高く、春先に発生します。

jcue.net

 

生きているイルカが座礁し、炎天下に長時間さらされると、イルカは皮膚に重大なダメージを受けます。その後、運よく海に戻れたとしても死ぬ場合もあります。

www.earthtouchnews.com

 

人類の営み

網漁での混獲、ソナーなどの巨大な音、船舶との衝突、狩猟などの人類の活動で、イルカが死す場合があります。*3

 

イルカにはわざと船舶と並走する個体がいますが、スクリューにやられてしまう「ドジな奴」の運命は?⇒深手を追えば当然ながら死亡します。
archive.fo

 

船の運航が多い国ではよく起きるスクリュー事故です。深手なら死にます。

www.asahi.com

 

川の中でも安全ではありません。以下は電気漁(現地では密漁)で巻き添えになったと考えられる例です。

www.mmtimes.com

 

混獲により絶滅寸前の種は、メキシコのコガシラネズミイルカ(バキータ)や、ニュージーランドマウイイルカが知られます。*4

 

人類による環境汚染

環境汚染には、化学的な汚染や、海ごみ問題(使い捨てプラスチック問題)などがあります。

 

閉鎖的な海域では化学物質の汚染による影響で大量死が発生しています。*5

 

海ゴミは、イルカが生活をすることが困難になり、死に至るようです。以下は釣り糸の例です。

www.youtube.com

web.archive.org

このイルカは運がいいのですが、ダイバーがいつもみつかるわけではありませんし、イルカ種がいつも人間に頼る知恵(または人なれした習慣)をもつわけではなく、釣り糸が絡まればそのままでしょう。

 

海の中の漁網に絡まる事故もあります。

www.nbc-2.com

海の底のゴーストネット(遺棄漁網)に絡まると、当然ながら窒息死いたします。漁網もプラスチックなので、分解までにそれなりの時間がかかります。

 

野生はいつ戦場や修羅場と化すかわかりません


野生とは、安全性が保障されていたり、人為で助けられる飼育施設に比べ、遙かに過酷です。


ぶっちゃけ言うと、野生(大自然)とは、いつ戦場や修羅場になるか解らないところ、と言い換えることができえます。

人類の大半が野生生活を捨て去ったのを見てもわかる通り野生生活は過酷ですが、ところが、野生をロマンチックに考える向きが多くおり、野生でのイルカの苦痛はまったく顧みられません。

 

野生と飼育とどちらがイルカによいか? 

ある飼育施設の生け簀(いけす)に穴をあけられた事件があり、

生け簀の中のイルカは、あるいは外に出たり、あるいは生け簀に留まりました。

生け簀の外に出たイルカらも生け簀のそばに留まっていました。

そして、飼い主(人間)が来ると、すべてのイルカが生け簀の中に戻ったそうです。

イルカの習性として、生け簀の周りに留まるそうです。

ちなみに、そこで飼育されるイルカはすべて野生生活を体験してきた個体です。

そろそろ答えが出ているのではないでしょうか。

*1:地中海など閉鎖的な海域での疾病の蔓延は、環境汚染物質の影響も示唆されています。

*2:自動車事故にも「死のカーブ」という道路の要因がありますが、特定の海岸での鯨類の座礁の場合、何らかのミスで集団で座礁してしまうとも考えられています。

*3:近年の捕鯨論争では、捕鯨よりも、潜水艦のソナーや混獲のほうが鯨類にとって深刻な危機だとする問題提起がなされています。

*4:メキシコもニュージーランドも反捕鯨国です。

*5:「クジラ・イルカ・アザラシと環境汚染 有機塩素系化合物の蓄積と生物影響」:海と生物 (PDF)